読書感想:日本語の作文技術

本記事では『日本語の作文技術』を読んだ感想を述べる。

この本をまだ読んだことがない人が読むかどうかを判断する材料になれば幸いである。

 

どんな本か

この本には読む人にとってわかりやすい文章を書くための技術がまとめられている。文ひとつひとつをわかりやすくする技術について特に丁寧に解説している。

 

もっとも力を入れて書かれているのは、読点の打ち方に関する章である。読点の打ち方は書き手の癖が現れやすいところだろう。人によっては点が多すぎたり、反対に少なすぎたりする。どちらに振れてもわかりにくくなってしまい塩梅が難しい。この本では読点の打ち方の基本的な方針を著者の経験と独自の観点をふまえて与えている。読点の打ち方に悩んでいる人がいたらぜひ手にとって読んでほしい。

 

読点の打ち方の他には修飾語・被修飾語の順序などを多種多様な例文を取り上げて徹底的に分解し、最適な構成を探っている。何かを説明・主張する文書を作成するとき最後は一文一文を細かく修正するフェーズに入ることがしばしばある。そのときにこの本で実施されている手法は参考になる。

感想

『理科系の作文技術』を読んだときと似たような感想を抱いた。一方で『理科系の作文技術』でいうところの理科系の仕事の文書だけにとどまらない汎用性を持った内容であるため、夏休みに子どもが書く読書感想文のような説明的でない文書に対しても使えると感じた。もし子どもを持ったら教えてあげたい。

 

この本と『理科系の作文技術』の内容を両方とも実践すれば(内容を作る点を除けば)作文を怖がることはなくなるだろう。作文に苦手意識がある人は併せて一読することをおすすめしたい。

読書感想:理科系の作文技術

本記事では『理科系の作文技術』を読んだ感想を書く。

この本をまだ読んだことがない人が読むかどうかを判断する材料になれば幸いである。

どんな本か

理科系の仕事の文書をわかりやすく書くための技術がまとめられた本である。

理科系の仕事の文書とは学術論文だけでなく説明書・仕様書・計画書といった、

  • 論理的に正しい必要がある
  • 三者が読むことを目的にされている

文書のことを指す。

 

この本は文系・理系を問わず何かを説明する文章を書く必要性のある人すべてにとって有益であると思う。この本で登場する例文が学術論文やレポートであることが多いためサッと読んだだけでは論文の書き方を説明しているように捉えられるかもしれない。上記のように仕事の文書の定義の観点には何かを主張または否定する文書かどうかは含まれていない。きちんと読めば論文だけではなく上記の定義の意味での仕事の文書をわかりやすく書くための技術が紹介されている本であることがわかるだろう。

感想

早いうちから読んでおけばよかったと心から思う。最近、この本にならって

  • 事実と意見を区別し、
  • 目標規定文を書き、
  • トピックセンテンスを意識して段落を分ける

ようにしたところ文章のわかりやすさが向上した。目標規定文とトピックセンテンスが何かについてはこの本を読んでいただきたい。

 

この本に書かれていることを実践するようにしたところ作文技術が上がった一方で文章を書くことへの心理的ハードルが上がってしまった。何かについてきちんと説明または主張をする文書を作成する際に構成をきちんと整えようと思うと、説明する内容に対しての私の理解が非常に浅かったり、主張したいことがあやふやであったりすることに気付かされるためである。結局のところ、わかりやすい文章が書けるかどうかは作文技術以上に執筆者が書く内容をよく理解しているかどうかが鍵だということであろう。

 

昨今、特にシステムエンジニアプログラマがブログやQiita、Zennといったサービスで文書を作って発信することを偏重する趣があるように思う。文章を発信しようと思うことは非常に良いことだと思うが、文章の内容や出来にももう少し意識を向けた方が良いだろう。良い文章を作るためには執筆者が書く内容をよく理解する必要があり、よく理解するためには勉強の質と量を増やす必要がある。質の良いアウトプットと質の良いインプットを繰り返すことがより高いレベルに到達することに繋がると信じている。これから文章を発信しようと思っている人には、ぜひ読んでいただきたい。