本記事では『理科系の作文技術』を読んだ感想を書く。
この本をまだ読んだことがない人が読むかどうかを判断する材料になれば幸いである。
どんな本か
理科系の仕事の文書をわかりやすく書くための技術がまとめられた本である。
理科系の仕事の文書とは学術論文だけでなく説明書・仕様書・計画書といった、
- 論理的に正しい必要がある
- 第三者が読むことを目的にされている
文書のことを指す。
この本は文系・理系を問わず何かを説明する文章を書く必要性のある人すべてにとって有益であると思う。この本で登場する例文が学術論文やレポートであることが多いためサッと読んだだけでは論文の書き方を説明しているように捉えられるかもしれない。上記のように仕事の文書の定義の観点には何かを主張または否定する文書かどうかは含まれていない。きちんと読めば論文だけではなく上記の定義の意味での仕事の文書をわかりやすく書くための技術が紹介されている本であることがわかるだろう。
感想
早いうちから読んでおけばよかったと心から思う。最近、この本にならって
- 事実と意見を区別し、
- 目標規定文を書き、
- トピックセンテンスを意識して段落を分ける
ようにしたところ文章のわかりやすさが向上した。目標規定文とトピックセンテンスが何かについてはこの本を読んでいただきたい。
この本に書かれていることを実践するようにしたところ作文技術が上がった一方で文章を書くことへの心理的ハードルが上がってしまった。何かについてきちんと説明または主張をする文書を作成する際に構成をきちんと整えようと思うと、説明する内容に対しての私の理解が非常に浅かったり、主張したいことがあやふやであったりすることに気付かされるためである。結局のところ、わかりやすい文章が書けるかどうかは作文技術以上に執筆者が書く内容をよく理解しているかどうかが鍵だということであろう。
昨今、特にシステムエンジニア・プログラマがブログやQiita、Zennといったサービスで文書を作って発信することを偏重する趣があるように思う。文章を発信しようと思うことは非常に良いことだと思うが、文章の内容や出来にももう少し意識を向けた方が良いだろう。良い文章を作るためには執筆者が書く内容をよく理解する必要があり、よく理解するためには勉強の質と量を増やす必要がある。質の良いアウトプットと質の良いインプットを繰り返すことがより高いレベルに到達することに繋がると信じている。これから文章を発信しようと思っている人には、ぜひ読んでいただきたい。